日本軽金属ホールディングス株式会社

サプライチェーンマネジメント

方針

当社グループは、「グループ内外との連携を深化させ、お客様へ多様な価値を継続的に提供する」ことを経営の基本方針として掲げています。お客様へ継続的な価値提供を行うには、日々変化する環境に即時・柔軟に対応していくことが必要不可欠です。そこで、当社グループでは「安定したサプライチェーンの構築」と「変化に柔軟で強靭なバリューチェーン」を重要課題として特定し、責任ある調達・生産・供給を目指しています。これらを実現していくために、サプライヤーと共に法令遵守・人権尊重・環境保全・製品サービスの安全性等、CSRに配慮した調達活動を推進します。

CSR調達方針

当社グループの購買部門では、右記のようなCSR調達方針を掲げ、調達活動を行っています。このCSR調達方針の浸透のため、購買担当者会議を半期ごとに開催しています。本会議では、当社グループ27社の購買担当者が一堂に会し、調達情報、調達課題、CSR調達に関連した事項の情報共有に努めています。加えて、不正防止のためのワークショップを実施し、調達コンプライアンスの向上に努めています。

また、サプライヤーへの啓発とサプライチェーンの強化をすべく、サプライヤーへ向けたアンケートを実施し、サプライチェーンの現状把握を行っています。

  1.公平・公正な調達
  2.反社会的勢力の排除
  3.調達コンプライアンス
  4.含有化学物質管理
  5.人権・労働環境・安全衛生への配慮
  6.BCP(事業継続計画)への取組
  7.SDGsへの取組

体制

当社グループは、多岐に事業を運営しており、購買品目も多岐にわたります。このため、購買体制は事業分野ごとの自律を基本としながら、緩やかなグループ連携を行っています。また、情報連携のみならず、人財交流による業務連携強化も行っており、多様な視点から調達戦略を立案・遂行し、コスト低減とともにリスク管理・ヘッジ施策を実施しております。このようなグループ連携を通じて、責任ある調達を実現するために、さまざまな課題を先取りして解決を図っています。

2022年度の取組み

安定したサプライチェーンの構築

新型コロナウイルス感染症の蔓延、ロシアによるウクライナ侵攻など、当社グループを取り巻く調達環境は目まぐるしく変化しています。

中国の電力規制に伴う金属材料の供給不安が発生し、予想される中国リスクや市況高騰への事前の準備が必要不可欠の情勢は昨年度から継続しています。ここでは、金属材料の中国以外のサプライヤーからの調達比率の上昇によるリスク低減を行う一方、購買品目の値決めのフォーミュラ化により、安定した適正価格での購買ルートを実現しました。

主原料のアルミ地金調達においては、複数購買の観点から世界の国々・地域からの調達を行っています。一方、海外サプライヤーの調達リスクを考慮し、国内での調達体制の構築も進めています。さらに、需要の急変への対応策として、サプライヤーでは海外・国内、契約では長期・短期の選択肢を用意した柔軟な対応をとることで在庫リスクを低減できるオペレーションを目指しています。

大規模災害、地政学的リスク、資源インフレ、これらはすべてサプライチェーンの不安定要素となります。当社グループではこれらのリスクを最小限に抑えるべく、以下のような施策を行っています。
○従来産地品以外の新しい産地品の開拓による地政学的リスクの軽減
○「顔の見えるサプライヤー」との年間契約による安定的な供給体制の構築
○モノポリー購買の複数購買化
○購買品目の値決めのフォーミュラ化

このような施策により、安定したサプライチェーンの構築を進め、リスク顕在化時の被害のミニマム化を進めています。

 

変化に柔軟で強靭なバリューチェーン

2022年度サプライヤーアンケート実施結果について

私たちを取り巻く購買環境はこの先も大きく変わることが考えられます。現在、予見されるリスクは、地球温暖化や大規模災害、地政学的リスクなど多岐に渡ります。これらの取り巻く環境に対するサプライヤーの対策状況について現状把握をする必要があります。よって、2022年度もサプライヤーアンケートを継続実施いたしました。

品質・環境・社会的責任の観点から、当社グループでは顧客満足・信頼維持のサポートを行うとともに、購買部門ではサプライヤーへの啓発と連携強化に努める必要があります。当社グループの集中購買品を対象とした、2022年度サプライヤーアンケートは、WEBアンケート方式を採用し、例年同規模の約400社のサプライヤーへ実施しました。2022年度の回答回収率は78%となりました。

SDGsの取組み推進の進捗度を問う質問に関しては、「推進している」と回答したサプライヤーが50%となり、前回の31%から約19ポイント上昇しており、多くのサプライヤーがSDGs達成に向け、取組みを推進するフェーズへ移行していることが分かります。

大規模災害発生を想定したBCPの策定状況を問う質問には、「既に定めている」と回答した企業が昨年度比較で39%から48%と約9ポイント上昇していました。また、現時点では策定中ではない企業も「概ね1年以内に策定する予定」と回答しており、多くのサプライヤーが大規模災害に対して対策を講じつつあることが分かります。

当社グループの購買部門では、サプライヤーに対し、取り巻く環境への対応方法策定を引き続き推進します。一方で、今回のアンケート結果をもとに、当社グループがさらなる対応が必要と判断したサプライヤーに対しては当社グループのCSR調達方針をご理解いただけるよう、啓発を進めてまいります。

 

SDGs達成に向けて、取組みを推進していますか?

  • SDGs達成に向けて、取組みを推進していますか?

 

大規模災害発生を想定した、原料調達・生産・輸送・購買等の機能を含む事業継続計画(以下BCP)を策定していますか?

  • 大規模災害発生を想定した、原料調達・生産・輸送・購買等の機能を含む事業継続計画(以下BCP)を策定していますか?

 

人権デュー・ディリジェンスに対する取組みについて

人権デュー・ディリジェンスに対しては、客観的な視点での状況把握が必要です。これまでも、当社グループは人権に対する取組みとして、人権方針の遵守やユーザー由来の調査をサプライチェーンに遡及させる、またサプライヤーに対するアンケートをもって明示してきました。

2022年度は試験的にグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのCSR調達セルフ・アセスメント・ツールを用いて、一部のサプライヤーを対象にリスクの特定と評価を行いました。今後は、下記のステップで人権デュー・ディリジェンスを進めてまいります。2022年度に取り組んだ内容および2023年度取り組む予定のステップは赤の網掛け箇所となります。

人権デュー・ディリジェンスのステップ

  • 人権デュー・ディリジェンスのステップ

 

負の影響の特定・評価を目的とした2022年度の調査では、グループ購買額の約70%となる22社のサプライヤーに対して、試験的にCSR調達セルフ・アセスメント・ツールの回答を依頼し、リスクの特定を行いました。人権項目について、平均評価スコアは高い結果でしたが、地域社会または先住民に対する配慮を是正する仕組みがないと答えるサプライヤーもありました。これは、サプライヤーが地域社会や先住民に対する配慮を行うことを製品の生産における前提条件としており、明確な是正する仕組みを確立していないことが1つの要因と考えています。

情報セキュリティや品質・安全性、労働項目は高い評価スコアとなりました。また、地域社会については、高い得点ではあるものの、その他の大項目と比較した場合、低い得点率となりました。調査対象にしたサプライヤーは工場が工業地帯にある場合が多く、「地域社会に対しての取組み実績が現状ない」などの低い得点の項目に回答した企業が多いことが要因の一つとも推察されます。

2030年度を目標として、本アンケートへの回答を依頼する対象企業数を当社グループ全体の購買額の80%へ拡大する計画です。

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