日本軽金属ホールディングス株式会社

チーム日軽金
プロジェクト

チーム日軽金プロジェクトで創出された
製品・取組みをご紹介します。

Project #2ブレースリー

チームプレイで実現した「人命と財産を守る製品」づくり。

阪神、東北、熊本と度重なる大地震を経て、現在日本では住宅に高い安全性を求める気運が高まっています。チーム日軽金では防災の観点から木造住宅に使用され、住宅の強度を高める「筋かい」に着目。アルミの特性を生かして耐震+制震の機能がある「ブレースリー」を企画、開発、事業展開しています。実現化するまでの背景とチーム日軽金での連携についてお話を伺いました。

チーム日軽金「ブレースリープロジェクト」/日軽金アクト(株)/日本軽金属(株)/理研軽金属工業(株)/不二貿易(株)/日軽産業(株)/(株)エヌティーシー

日軽金アクト株式会社 制震プロジェクトリーダー「鈴木 一利」×日本軽金属株式会社 グループ技術センター 解析・設計グループ「池田 修一」

耐震機能+制震機能をもつ筋かい、「ブレースリー」

「ブレースリー」とはどのような製品ですか。

制震と耐震の地震対策装置です。木造軸組工法の住宅には、住宅の強度を高めるために、壁の中に「筋かい(ブレース)」と呼ばれる補強材が入っているのですが、その筋かいの耐震機能を強化し、制震機能を持たせたものです。「安全、安心、安価」と3つの特長があるブレースなので、「ブレースリー」という名前にしました。

  • 木造軸組工法:柱と梁で出来た骨組みに、筋かいという斜めの材を入れて補強した構造。木造住宅工法では一般的。
スズキハウス Shall

耐震と制震とはそれぞれ、どのようなことなのでしょう。

耐震とは、建物を硬く・強くするという考え方です。ただし、硬く・強くといっても限界がありますので、大きな地震の場合、壊れる可能性があります。制震とは、地震のエネルギーを吸収して、建物の揺れが大きくなりすぎないようにするという考え方で、自動車に使われるようなサスペンションで建物を支えるようなイメージです。ですが、そのサスペンションにあたる部分がふにゃふにゃと柔らかいだけですと大きく揺れてしまいますので、ブレースリーは建物の基本的な硬さ・強さは耐震機能でがっちり補強し、それに追加して、制震機能でエネルギーを吸収して建物の揺れを減らします。

実際「ブレースリー」は、どのように機能するのでしょうか。

ブレースリーは、硬さ・強さとエネルギー吸収の二つの機能を併せ持っています。震度5強程度までは筋かいとしての「耐震」の役割でガッチリ固定し、揺れに対抗します。それ以上の揺れになると「制震」が効き出して、地震のエネルギーを吸収します。このエネルギー吸収は、ブレースリーに内蔵されたダンパーで行います。
耐震性能とは壁が横からの力に耐える性能のことを言い、「壁倍率」と呼ばれます。通常の木の筋かいだと「壁倍率2.0」のところ、「ブレースリー」は「壁倍率2.4」となります。これは国土交通省に認定されています。

「ブレースリー」がコストパフォーマンスに優れているのは、アルミに関する豊富な知見やノウハウを保有している日軽金グループだからでしょうか。

それもありますし、アルミの特性にもよります。アルミは、複雑な形でも一度決めてしまえば、押出工法で、ところてんのようににゅーっと同じ形を作ることができるんです。ブレースリーの本体とダンパーの部分はアルミの素材で、形状で工夫をすれば素材を変える必要はありません。本体は新幹線N700系のぞみと同じ頑丈な材質で、タンパーは一般的な6063材に靱性(ねばり)が出るような熱処理を長時間かけて行う独自のレシピを駆使しています。また、流通や製造コストを考えて、日軽金グループのどの工場で作ったら一番効率的なのか、ということも常に計算しています。

変形したS字で構成されたダンパー。「少し角度をつけたS字」にすることで、地震のエネルギーを効率よく吸収し、ダンパーへの負担を防ぐことに成功した。

グループ内でバトンを回し、製品化

製品誕生までのいきさつを教えてください。

今から10年以上前に、地震対策用の防災製品ができないかと日軽金アクトで企画とマーケティングがスタートしたのですが、当初は筋かいになると想像はしていなかったですね。材料も、アルミと他の素材の組み合わせで他社さんと合同で開発を進めている時期もありました。

長い道のりでしたか。

「アルミ製の筋かいを作る」と決定してからは、2年弱でしょうか。当初から、特殊な工具を使わず取り付けられて、既存の木製の筋かいと置き換えられる構造のアルミ製筋かいを模索していました。現場の職人さんに負担をかけないようにするためです。
日軽金アクトでコンセプトを決め、日本軽金属グループ技術センターでコンピューターシミュレーションによる設計を行い、理研軽金属工業で試作品を作り、もう一回、日本軽金属グループ技術センターで強度試験を行いました。特にダンパーの部分は、設計・試作・実験のサイクルを3回行い、1年以上かけてブラッシュアップしました。

開発では、国土交通省の認定を受けることを目標にしていますので、外部で行われる試験設備を日本軽金属グループ技術センター内に再現しました。コンピューターシミュレーションと実験の両輪を回し、万全な状態で国土交通省の試験を経て、2011年に壁倍率2.4の認定を受けました。このように、バトンを回し、課題を解決し、製品化に成功しました。

企画から事業化まで各フェーズでグループ全体が協力して進行したのですね。

はい、グループ内で企画から製品化まで一気通貫でできることが強みだと思います。
社会的な防災に対する意識の高まりもあり、2017年からは専属の営業チームとして、日軽金アクトで制震プロジェクトチームが発足しました。現在、日本各地の建材販売店・工務店さんとパートナーシップを築いて現場にも伺っています。

現場の声に耳を傾けると、防災に関する意識が高まってきており、新築木造住宅のうち5~10%の施主さんは制震機能をつけるそうで、設置数は急激に増加しています。ブレースリーの導入率にも手ごたえを感じていますし、もっと伸びていく製品だと思いますね。

信頼と尊敬のあるチームで解決へ

チーム日軽金「ブレースリー」営業から設計へ。

池田さんは、とても難しい要望にも応えてくれるので、万全の信頼を置いてます。ブレースリーはシェアナンバーワンをとれる制震材であると確信しています。

チーム日軽金「ブレースリー」設計から営業へ。

鈴木さんは、ものすごい勢いで新しいお客さまをどんどん開拓してくるので、いつも圧倒されています。豊富な知識と人脈で営業チームをリードしているのはもちろんですが、お客さまのニーズをつかんで意思決定するのが早いので設計からも信頼しています。

今後のチームの展望を教えてください。

新築向けの「ブレースリー」はリフォーム住宅に導入しにくいという声があったのですが、リフォーム向け、さらに新築向けにも施工性を向上させたものも開発しました。まだまだ新築向けがメインですが、今後はリフォーム向けに特化した製品などバリエーションを増やしていく予定です。どんな問題でも、お客さまからの信頼を得てニーズがあれば、解決していけると思っています。
「ブレースリー」は、人の命と財産を守れるという良い製品なので、誇りを持って紹介していきたいですね。日軽金グループの使命にも寄与していけると考えています。