日本軽金属ホールディングス株式会社

トップメッセージ

チーム日軽金として異次元の素材メーカーを
追求してまいります

はじめに

当社グループは、このたび、従来の「CSR報告書」および「Annual Report」に代わり、はじめて「統合報告書」を発行する運びとなりました。本報告書では、当社グループを取り巻く外部環境と内部の経営資源について、私たちがこれをどのようにとらえているか、そして社会の一員としてどのように価値を提供し、より良い未来創りに参画しようと考えているのか、いわゆる「価値創造プロセス」を中心として、私たちが目指す将来の姿を具体的にお話ししたいと考えております。
しかし、本題の前に、まず以下の件について、ご説明申し上げます。

JIS認証取消・JISマーク等使用停止請求問題

過日、当社グループの一部の事業所におけるJISマーク表示製品について、「鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令」に定める基準を満足していない製品に対してもJISマークを表示して出荷していた事実や品質管理体制の不備が判明いたしました。これらに基づき、JISの認証機関である一般財団法人日本品質保証機構から、当該事業所について、JIS認証取消やJISマーク等使用停止請求の通知を受けております。
いずれにつきましても、不適切な行為の発生と、それを組織として防止し得なかったことについて、ものづくりを営む企業として、まさしく「あってはならないこと」というほかなく、極めて深刻な事態として受け止めております。
JIS認証取消やJISマーク等使用停止請求によって、お客様をはじめ、社会の皆様に対してご迷惑とご心配をおかけしていること、そして当社グループ全体に対する信頼性を著しく失墜させる結果となっていることについて、深く反省しております。
現在、グループを挙げて、事態の全容解明に努めており、お客様には状況を誠実にご説明するとともに、納入した製品の性能等について検証を重ねております。また、2021年6月9日付けで設置された「特別調査委員会」により、外部の知見を活かした客観的な原因究明と再発防止策の提言をいただく予定となっております。
当社グループは、これまで「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続けることによって、人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく」という経営理念の下で事業活動を進めてまいりました。当社グループの役員・従業員一人ひとりが、今回の問題を「自分の問題」として認識し、厳しいご批判を真摯かつ謙虚に受け止め、再生と信頼回復に向けた具体的な行動につなげることが、すべての出発点であると認識しております。
こうした事態を招いたことにつきまして、改めて深くお詫び申し上げます。

チーム日軽金として異次元の素材メーカーへ

2019年に策定した現行の中期経営計画(2019年度〜21年度)は、スローガンとして「チーム日軽金として異次元の素材メーカーへ」を掲げております。
「チーム日軽金」と「異次元の素材メーカー」という考え方は、私が社長就任以来、社内外において強調し続けてきたことであり、本報告書の中心的なテーマである「価値創造プロセス」においても重要な要素ですので、その概略をお話しいたします。

自己変革の歴史に根差した「特長かつ強み」

当社グループは、すぐれた素材である「アルミニウム」を中核として、その素材から加工までの多種多様な事業が相互に結びついた複合的な事業体であり、まさにこの点こそが、最大の「特長かつ強み」であると考えています。言い換えれば、特定の事業や特定の分野に過度に依存する事業構造ではなく、多くの領域を幅広くカバーする「総合力」ないしは「多様性」こそが、競争力や差別化の源泉であるといえます。
これは、当社グループが歩んできた歴史そのものでもあります。
当社グループの主要会社の一つである日本軽金属(株)は、かつては、アルミニウム製錬を主力事業とする会社でした。しかし、アルミニウム製錬は多量の電力を消費することから、1970年代の石油危機を契機とした電力コストの高騰によって、国内で生産するアルミ地金は著しく国際的競争力を失い、1980年代半ばには、事実上の撤退に追い込まれました。まさしく会社の存続が危機的状況に直面したとき、日本軽金属(株)は、アルミの加工分野に事業の主軸を移す大変革を行いました。
さらに、アルミ箔・ペースト事業の東洋アルミニウム(株)や、トラック架装関連事業の日本フルハーフ(株)など、アルミニウム素材を活かした加工分野で高い競争力とグローバル展開を誇る会社も含め、当社グループは、多岐にわたる事業で構成される企業集団として、今日にいたっております。
当社グループの「特長かつ強み」とは、こうした「自己 変革」の歴史に根差しており、そのベースにあるのは「人」 という最大の資産、まさに「人財」にほかなりません。

外部環境への対応と社会的価値の創造

「チーム日軽金」という概念は、こうした多様な知見を有するグループ各社あるいはその構成員(人財)それぞれが、いまよりも有機的に結集すれば、さらに大きな相乗効果が生まれるのではないか、という期待感でもあります。
当社グループでは、これまでも、会社や部門の枠組みにとらわれない組織横断的な「横串活動」を推進し、多くの新商品も誕生しています。2019年末に本社機能を新橋に移転した際、グループ各社の拠点を極力ここに集約したのも、まさにこの考え方に基づいています。こうした動きを、さらに加速・強化させ、具体的な成果をあげ続けていくためにも、引き続き、「チーム日軽金」という考え方を徹底したいと考えております。
「異次元の素材メーカー」とは、まさにこの「チーム日軽金」を突き詰めた究極の姿です。「異次元」とは、例えば、規模(量)の拡大のみを単純に追うのではなく、お客様のニーズに対して、まさしく「チーム日軽金」の考え方に基づき、一人ひとりの「知恵の集積」によって、当社グループの「強み」を活かした高い付加価値と競争力を有する商品やサービスを生み出し、新しいニーズや市場を創造し、独自の領域で勝負するなど、まったく新しいタイプの会社あるいはグループです。さらには、そういう姿を目指して変わり続けていこうという理念であり、目標でもあります。
「チーム日軽金として異次元の素材メーカーへ」というスローガンは、当社グループが、激変する外部環境に対応し、社会的価値の創造にも寄与するために自ら変わり続けることによって、将来に向けて持続可能なグループになるという決意の表れなのです。

「統合思考」にあたって

外部環境の変化がもたらす「機会」と「リスク」

企業活動を行う上で、当社グループは、さまざまな外部環境の変化による影響を受けています。 例えば、カーボンニュートラルの流れや循環型社会へのシフト、労働人口の減少、グローバル化の進展、その結果としての競争の激化などが挙げられます。いわゆるSDGs(持続可能な開発目標)に対しても、企業としての取組みが問われています。
こうした外部環境の変化は、当社グループにとって、ある面では大きな「機会」である一方、大きな「リスク」でもあります。例えば「温室効果ガスの削減」については、これにより自動車の電動化が進展するならば、さらなる車両の軽量化のためにアルミニウムへの期待が高まるという「機会」 と、内燃機関がなくなるという「リスク」の両面が存在します。
そのため、事業活動の推進は、外部環境の変化にともなう社会課題の解決を目指すことであり、日々の事業活動において具体的に取り組むべきことであると考えております。それが、「統合思考」の原点だと思います。

従業員に「プライド」と「幸せ」を

会社とは、それを構成する従業員一人ひとりの意識と行動の集積です。そのため、グループで働く従業員やその家族などのすべての人が「このグループで働くことができてよかった!」と、「プライド」をもって言えるようにすることが大事であり、それこそが従業員の「幸せ」を構成する重要な要素であると考えています。
「人財」こそが経営の根本であり、だからこそ、その「プライド」と「幸せ」は、とくに重要であると認識しております。

将来のあるべき姿と重要課題(マテリアリティ)

こうした観点もふまえ、統合報告書の検討にあたっては、まず、当社グループが直面する外部環境や経営資源を冷静に認識した上で、中長期的な「あるべき姿」から現状を見つめ直し、グループの「強み」と「課題」について、この1年、当社取締役会、グループ経営会議のほか、グループ各社社長が参加する会議などで討議しました。その後、7名の外部有識者の方のご意見をいただきながら、さらに検討を重ねました。
その結果、当社グループにとって取り組むべき経営上の重要課題として、

  • 地球環境保護
  • 持続可能な価値提供
  • 従業員の幸せ
  • 責任ある調達・生産・供給
  • 企業倫理・企業統治

の5項目を特定いたしました。
重要課題やそれに基づく提供価値、価値創造プロセス等の詳細については、以降のページで詳しく説明いたしますが、こうした課題の解決にあたっては、当社グループの「経 営理念」と「行動理念」を役員・従業員すべてが心に刻み、これを具体的な日々の行動指針とした上で、「チーム日軽金として異次元の素材メーカーへ」を目指し、重要課題に取り組んでいくことが必要だと考えています。

むすび

新たな中期経営計画を目指して

2019年に策定した現行の中期経営計画は、①新商品・新ビジネスの創出、②成長に向けた資源投入、③経営基盤強化を基本方針とし、成長分野に積極的に資金や人財などの経営資源を投入することによって、さらなる成長を目指しています。この計画に基づき、北米で自動車関係の新たな拠点を設立するなど、具体的な実行に結び付いた例もありますが、全体としては、世界的な貿易摩擦による景気低迷や、2020年からなおも続く新型コロナウイルスの影響を受け、残念ながら、数値目標の達成は厳しくなっています。
現在、2022年度を起点とする新たな中期経営計画を検討しております。まずは冒頭で申し上げたJIS認証取消やJISマーク等使用停止請求で失った信頼の回復をはかるとともに、統合思考の観点で変化を恐れることなく、将来の「あるべき姿」、すなわち「チーム日軽金として異次元の素材メーカーへ」の実現に向けて、引き続き走り続けてまいります。