日本軽金属ホールディングス株式会社

共生社会の実現に向けて

日軽金グループは、より多くの障がい者により多くの職場で働いていただけるよう、2015 年10 月に日軽金オーリス㈱を設立しました。日軽金オーリス㈱では、拠点のある静岡や東京の特別支援学校を通じて障がい者雇用やその職域拡大に取り組んでいます。今回は、静岡県立中央特別支援学校の渡邊校長先生と日軽金オーリス㈱の市川社長、および日軽金オーリス㈱の設立メンバーでもある大島事業部長に集まっていただき、障がいのある人の雇用や仕事、それらを通じて目指すことについてお話をいただきました。

 

  • 静岡県立中央特別支援学校 校長
    渡邊 浩喜 先生
    日軽金オーリス㈱の採用活動でお世話になり、以来、雇用に限らずダイバーシティ教育などの面でもご指導をいただいている。
  • 日軽金オーリス㈱ 社長
    市川 雅一
    日本軽金属ホールディングス㈱
    執行役員
    CSR・監査統括室長
  • 日軽金オーリス㈱ 事業部長
    大島 章嗣 〔司会〕
    日本軽金属㈱蒲原製造所勤労課長。日軽金オーリス㈱設立から携わり、現在に至る。

特別支援学校の教育とCSR(企業の社会的責任)に共通する
「共生社会」の考え方

大島: はじめに、特別支援学校の教育について教えていただけますか。
 
渡邊: 静岡県の特別支援学校の教育活動の基盤には、「共生社会」の考え方があります。そのために、生徒たちには自ら社会に参画していける人間に育ってほしいと考え、そのために必要な支援をしています。与えられた仕事の意義を見つけ、いかに自分のものにしていくかを大切にしてほしいと考えています。仕事の意義づけは、その仕事を主体的に行う原動力となり、仕事も生活も豊かにすることにつながると考えています。
 
市川: 私は日本軽金属グループのCSR推進の職責にあり、CSR推進について考える中で企業や従業員が社会とどう関わって生きていくかという課題に向き合っています。CSRは、1990年代のヨーロッパで起きた若者の高い失業率問題が始まりといわれています。東ヨーロッパから流入する安い熟練労働者よりも賃金の高い自国の若者を雇用しようという政府の呼びかけに企業が協力しました。多様な人を排除せず、互いに支えあって企業活動を進めていくという点では「共生社会」の考え方そのものだと思います。

 

日軽金オーリス㈱が活力をくれる、企業風土が変わる

大島: 「共生社会」という観点で、日軽金オーリス㈱はどのような役割を果たしているでしょうか?
 
市川: 日軽金オーリス㈱の従業員は、日本軽金属㈱の従業員と共に働いています。初めのころは日軽金オーリス㈱の従業員とどうコミュニケーションしたらよいか戸惑う従業員もいたと思います。それでも、出社時に挨拶を交わしたり、休憩時間に一緒にサッカーや社内イベントなどを通じて交流したりして自然と溶け込んでいきました。そして、日軽金オーリス㈱の従業員の仕事についての評価は高く、次第に事業や職場が拡大してきて、今ではなくてはならない存在です。私自身は、日軽金オーリス㈱の従業員の働く姿に勇気づけられていますが、同じように活力をもらっている従業員は多いと思います。
 
渡邊: 私も特別支援学校の卒業生が働いている様子を拝見させていただいたとき、彼らが受け身でなく自発的に動いて働いていると感じました。
 
市川: 日本軽金属㈱では新入社員研修の一環として特別支援学校での実習を毎年お願いしています。その実習をした新入社員に「学校に来る前はどういう風に接したらよいのか、どう声がけしたらよいのかがわからなかったが、実際にやってみたらそれほど構える必要はない、むしろ普通に接したら先に進めた」という気づきがありました。
 
渡邊: 障がいのある人と関わりづらいというのは関わり方がわからないだけです。どう声を掛けていいのか、どう助けてあげたらいいのかといったことがわからないだけです。それは体験すれば次第にわかってきます。そうやって、気づける人が増えてくるのが大事だと思います。
 
市川: 「障がいのある人と一般の人では、その境界は非連続的ではなくグラデーションである」という感想もありました。障がいの有無にはっきりとした境界線があるのではなく皆がつながっているという感覚や、相手のことを理解しようとするコミュニケーションの基本的な姿勢をこの実習から感じたようです。いろいろな人が集まり、チームで力を発揮することの意義を、障がいのある人と関わることで教えていただいていると感じています。

 

キラリ&ホットを見つけよう

大島: 障がい者雇用についての課題、あるいは学校から企業への苦言なども含めて先生のお考えを聞かせてください。
 
渡邊: 最近、障がいという概念が変わってきています。かつて、機能不全はすべて障がいとして扱われました。しかし私たちも、例えば眼鏡をかけている人は眼鏡を外すと「視力に障がいがある」と言えますが、眼鏡をかけることで健常者となります。障がいのある人も必要としている支援が違うだけで、その支援を得ることでその人の力を発揮することができます。これを私たちは、「適切な指導と必要な支援」と言っています。企業に当てはめれば、雇用するだけでは十分ではありません。雇用されてどう活かされるかが大事です。物理的、精神的な支援を得て、それからどう伸ばすか。活かせるところをどう発見するのかが大事だと思います。どんな人間にも「きらり」があり、「ほっと」させてくれるところがある。我々教師は、この「キラリ&ホット」を見つけようと言っています。
 
市川: 企業もそういった視点で従業員を育てられるか、支援をしていけるかということですね。
 
渡邊: ただ、本人が受け身ではいけません。周りが気づいてくれるのを待っているだけではいけない。自分自身で気づいていかなければならない。支援についてもそうです。周りがやってくれなければできない、ではいけない。

 

多様性がもたらす持続可能性

市川: 企業活動に「サステナビリティ(持続可能性)」というキーワードがあります。持続可能な事業活動は、自ら発見して目標をもってどうやって取り組んでいくかという姿勢が企業の原動力となり、サステナビリティにつながると思います。
 
渡邊: そうした企業でがんばれる生徒を育てていくのが我々教師の使命だと思っています。そのために、「学び方を学ぶ」ことを大切にしています。
 
大島: 事業活動ではメンバーに同質であることを求める傾向があります。そうではない、異なる人が混じることで同質性が固定しないようにすることも大事だと思います。それには、異なる人も対等であるという考えが必要です。障がい者雇用では、最初はみんな福祉的な感覚で受け入れたり、障がい者雇用率改善を考えたり、いやらしさがあります。しかし、現実には実際に障がいのある人が職場に来ることで組織風土が柔らかくなることがわかります。
 
市川: 特別支援学校の生徒さんに来ていただいて、企業にとって気づきがあり、前向きな影響を受けて、企業の生き方について教えていただくような環境を整えていくことが我々自身のためにもなると感じました。
 
大島: 新入社員だけではなくて、色々な従業員が体験することも必要ですね。
 
渡邊: 学校教育も集団で動いていますが、教育も企業と一緒です。組織は集団全体を同じ方向に向けることで力が出るのではなく、組織の一人ひとりを尊重することで力が出るのかなと思います。
 
市川: 私たちは、そのことを「チーム日軽金」と言っています。
 
渡邊: 学校でも「チーム学校」と言っています。同じですね。

 

みんなが活かされる職場をめざして

渡邊: 特別支援学校では、児童や生徒の指導をするために、その子に必要な支援を行っています。企業に置き換えると、企業は雇用をするだけでは十分ではなく、雇用した人をどう活かすかを考える必要があると思います。これまでは、段差の解消など物理的な支援が中心でしたが、これからは精神的な支援も重要になってきます。従業員がどう活かされどう伸びるのかを発見していただきたいと思います。
 
大島: 雇用についてもしっかりした仕事がある雇用を増やして、日軽金オーリス㈱を大きくしていきたいと思います。仕事を通じて、関わった人たちが変わっていき、やさしい会社、やさしい世の中になればいいと思います。
 
市川: 私たちもお互いの個性を認め合って、仕事に責任と誇りをもって、伸び伸びと自分の力を発揮できる風土を定着させたいと思います。そういう中で多様な人が活躍する共生社会づくりに貢献させていただきたいと思います。これからもご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

 

障がい者雇用率(日本軽金属㈱)

※各年6月1日時点

 

日軽金オーリス㈱の由来

     
 

日軽金オーリス㈱の社名は、設立当時のメンバーでアイディアを出し合い決めました。「オーリス(Ohlis)」の言葉には、「一丸となって、心を一つに(One Heart)」「活 き 活 き (Lively)」「笑顔(Smile)」で働く会社にしたいという意味を込めました。

 

日軽金オーリス㈱
シンボルマーク

 

CSRの取り組み